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2023年09月30日17:15

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「熊は、いない」〜いったい熊とはなんだったのか

本作では脚本・製作そして主演も兼ねたイランの巨匠ジャファル・パナヒ監督は、国家の安全を脅かした罪によって、2010年に以後20年間の映画制作禁止を政府から言い渡された。そんな状況下においても彼は国外上映を前提に「人生タクシー」等いくつかの映画撮影を敢行。そして本作撮影後、彼はイラン政府によって収監された…。

…などと、ここまではほとんどチラシの文言からの引用。なぜならこういう前提をきっちりふまえて初めて味わえる作品だと思うから。つまり監督は自身の過酷な状況を素材にしたセミ・ドキュメンタリー的作品にて、厳しい現状を海外各国に知らしめたかったということ。とにかくパナヒ監督は劇中においてもパナヒ監督として登場する。

ネタバレできないのでとりあえずの断片。「あれ、イランにこんなオシャレな街並みがあったっけ」と思わせる幕開けから観る側は罠にハマっている。”メタ・フィクション”とか”入れ子構造”といった言葉が思い浮かび、シネフィル諸氏からのひんしゅくを受け止めながら引用すれば「カメラをとめるな!」の組み立てを連想したりする。

ひとことで言えば映画監督を中心とした2つのカップルの物語。旧習を尊び、いつの時代の話かと思わせるイラン山村の雰囲気や、村民たち特有の論理の展開には興味深いものを感じるが、正直なところ最後までスッキリとはしなかった。というか、たぶんこの虚実入り交じる作品のキモを観終わったいまでもまだ解っていないのだと思う。 
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