自由学園明日館と畠山美由紀ライブ

この夜、BBL東京では古内東子ライブ。迷いつつ畠山美由紀のほうを選んだのは、これまで彼女のバックを務めてきたギタリスト4名が集結するスペシャルバースデイライブ、そしてそれ以上に会場がふだんなかなか足を踏み入れることのできない、フランク・ロイド・ライト設計の由緒ある空間、自由学園明日館講堂だったから。

池袋駅周辺の喧騒を忘れる静かな住宅地を歩く。途中で婦人之友社の本社社屋や極真会館の総本部道場を見つけたりするから東京の街は面白い。自由学園到着、明日館本体のほうは何かの宴のさなからしく部外者立ち入り不可。お向かいの講堂はすでに入場が進んでいて自由席。300席ほどのキャパがすべて埋まってライブスタート。

まずアコギを抱えて笹子重治(ショーロクラブ)、小池龍平(bonobos)、藤本一馬(orange pekoe)、市川和則(羊毛とおはな)がそろって登場、続いて真紅のドレスを身にまとった畠山美由紀。いきなり私のお気に入り「海が欲しいから」、まずは数少ないアップテンポの曲をぶつけて中高年多く占める客席の温度を一気に上げる。

やはりスペシャルライブ、デビューからの代表曲をまんべんなく。そしてそれぞれの時代に応じたギタリストが入れ替わり立ち替わりソロでバック担当。時が進むとともに徐々に暗くなる窓の外、シンプルな照明がステージを際立たせる。もともとライブのための空間ではないことが、かえって手作りの味わいをもたらしたように思いました。