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2023年08月26日17:23

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1625

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1625          

砂原浩太朗 「いのちがけ」           

二年前に出版された「高瀬庄左衛門御留書」が
大評判となり、その後の「黛家の兄弟」もヒット。
今や歴史時代小説における新たな旗手として注目
されている作家の、これがデビュー作。

二作目以降は架空の藩を舞台とした作品になって
いるが、本作品は実在の人物を扱っている。
したがってストーリーの潮流となる時代の流れは
史実に基づいている。

主人公は前田利家の側近の家臣である村井長頼。
作品のサブタイトル「加賀百万石の礎」とある
ように、前田利家が織田信長、柴田勝家、豊臣
秀吉に仕え、利家の子の利長が徳川家康に仕える
ことで、前田家が生き残った経緯が描かれる。

そこでは村井長頼と主君との濃密な関係とともに、
長頼の目から見た信長や秀吉、家康らの戦国
大名の思惑が表される。

派手さはないが、丁寧で柔らかい文章により、
次代の流れがすうーっと入ってくる。

それから、著者の他作品も読んで感じるのだが、
この作者は女性の生き方や男性への思いについての
描き方がうまい。

面白さから言えば、前述の二作目、三作目の作品の
方が上かもしれない。しかし、僕の感想を言えば、
二作目以降の作品はやや作りすぎという感じが
する。その意味では、本作品のように、歴史に
登場する人物を描く作品を手掛けるほうが、この
作家の個性がより際立つのではないかと思う。


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