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2023年08月06日08:57

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1621

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1621       

牧野雅彦 「今を生きる思想 ハンナ・アレント 
全体主義という悪夢」            

思想・哲学という難しいジャンルの話を素人に
分かりやすく、それも新書で100ページ程度に
まとめる、というのは生易しいことではない。

著者は政治思想史を専門とする学者だが、この
「分かりやすく」は、僕の見るところ、あまり
うまくいったとは思えない。

とは言え、ナチスに迫害を受けたユダヤ人で
全体主義研究の権威でもあるハンナ・アーレントは
もっと知られていい人である。と言うのも、
今の時代、全体主義がこれから猛威を振るいそうな
予感がするからだ。

全体主義の起源や構造については、専制制度や
権威主義体制と比較しながら論じられている。
だが、それが分かりやすいとは言えないと僕は
思う。できれば、習近平の中国や金正恩の
北朝鮮、プーチンのロシア、アサドのシリアなど
具体的な例を挙げて論じてもらえば、一般読者の
理解が進んだろうと思う。

著者によれば、人類社会の福祉や進歩という疑似的
法則によって人を強制するイデオロギーとなりうる
のが全体主義であり、人が自分の経験に基づいて
自分の頭で考えることを止めてしまう。体制側の
強制に身をゆだね、その流れに異を唱えようなら
人類進歩の敵あるいは社会の異分子として排除
される。

現在の世界では、非民主主義的な専制国家が
民主主義国家より多いと聞く。さらに、民主
主義国家にもグラデーションがあり、それぞれの
国で全体主義に陥る可能性がある。例えば、
日本では報道の自由度に関しては世界でも下位に
ランクされている。米国においても、トランプ氏の
言動はかなり危ういと思う。

本書を万人に薦めるつもりはない(なぜなら
前述したように分かりにくいからだ)が、この
テーマについて我々一人ひとりがもっと考えなければ
ならないとは思う。

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