あれ、これはまだ本編ではないのかな、と思わせる意表を突いた幕開け。シャルロット・ゲンズブールの監督デビュー作品は、母ジェーン・バーキンのありのままのすがたをとらえ、自身との関係に正面から向きあったドキュメンタリー。基本的にはシャルロットがジェーンにインタビューする形式、ただふたりの想いは微妙に交差…。
母娘ふたりが交わす会話によってほとんどのシーンが成立。したがってそれぞれのモノローグや他者による説明的なナレーションはいっさいなし。さらに既存の映像資料を借用することもなく、シャルロット自身が撮影した映像や、過去のプライベート8ミリ映像を織りこんだ、言ってみれば”私映画”という表現がふさわしい92分。
当初はある程度この母娘の背景というべき”ファミリー・ヒストリー“を知っておいたほうが深く味わえるかも…いやわざわざこの小品を観るようなひとはそのあたりすでによくご存じ…などと思っていたところにジェーンの訃報。世間的注目度は一気に上昇、“一見さん(私もそのひとりかも)“が興味を持つ可能性は大いに高まることに。
過去のプライベート映像が幾度となく挟まれる後半部分には、自身の人生をシンプルな言葉でふりかえるジェーンのすがた。彼女の訃報を知ったあとに観る我々は(フランス本国は一昨年の公開)、胸のつまる思いから逃れることができない。その言葉ひとつひとつが彼女の人生哲学、この作品そのものが大きな遺産になり得たと思います。
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