早織(安藤サクラ)はクリーニング屋で働くシングルマザー。ある日ひとり息子・湊の様子がおかしいことに気がつき、問いつめるとその要因は学校の担任・保利(永山瑛太)の言動にあるらしい。いてもたっても居られず湊が通う小学校まで乗りこんでいく早織、ところが校長(田中裕子)を筆頭に、その対応は冷ややかなものばかりだった…。
ここから始まる序盤戦の緊張感が半端なく、なにやらせき立てられるような気分でスクリーンに吸い寄せられる。やがて一転、こんどはまったく逆の立場から同じ出来事が描かれ、観る側はここで、いまではそのタイトルが“ひとつの対象にいくつもの視点がある”という意味の英語にもなっている、ある日本の名作映画の構成を想起する。
そして是枝作品の必須条件、子どもたちの視点へと移行。ここからいくぶん謎解きの要素が混ぜられるも、それは単に物語そのものの解明ではなく、予告編の段階で観る側に仕掛けられた謎を解くことにも直結。どちらにしてもそれらはスッキリしたものではなく、観る側の想像力に負う部分が多いのはいつも通りの是枝調だけど。
カンヌでは脚本賞とは別に、ある特別賞を受賞。そのことがネタバレにつながった部分もあり、たしかにそれを匂わせるシーンも。小学男子の友情物語と留めておくのはやはりイマの時代難しいのだろうか。前半は狂気、中盤はリアル、後半はリリカルという多層構成。すべてがつながったあたりから坂本龍一のピアノが美しく響いてきます。
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