ディランを探せ。2010年のライブ幕開け、ステージど真ん中で仁王立ちしていたのはギタリスト長身イケメンのチャーリー・セクストン。そのときディランは右手隅っこのほうでひっそりとオルガンに…。はたして今回はどうなるか…目の前が明るくなるやすでに彼は舞台中央にデンと置かれたグランドピアノと対峙、ところが…。
ディランは我々客席と正対してピアノを弾いていたのだ。つまりこちらからはピアノが邪魔をして彼のすがたは首から上だけ。さすがにピアノの蓋は外してあったが、横からはマイクがまっすぐ伸びている。ふつうピアニストが主人公のライブって、ジャンルを問わず客席にたいして横向きのはず、これってエンタメ基本のきだと思うけど…。
彼がおもむろに立ち上がってピアノを弾いたのがライブのあいだ3〜4回、もちろんそのとき客席は大歓声。ただその時点でも見えたのはせいぜい上半身。結局ディラン御大の全身を拝めたのは、すべてが終わって大歓声のなかバンドともどもステージ前方に一列、仁王立ちのまま客席を睥睨(へいげい)したときだけだったのだ。
そしてライブ全体の照明演出といえば、せいぜい私が座っていた15列目ぐらいまでしか届かない中途半端な薄暗さ。ステージ奥のクラシカルなカーテンの色合いとも相まって、いかにも”いまの照明技術ではこれが精一杯“といった、古き時代のドサ回り吟遊詩人のショーを思わせる空気が終始漂っていたのだった(あすに続く)。
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