自宅マンションすぐ階下にお住まいのTさん一家がこのたび転居、きょうが引っ越し当日とかでわざわざ挨拶に来られた。こちらが入居した22年前からお住まい、当時はごく近所のチェーン系ラーメン店フランチャイジーとしてご夫婦でお店を切り盛りされ、やがてウチの嫁ハンはそのころまだ小学生だった娘さんにピアノを教え始めた。
これはマンション住民間に頻発する問題のひとつ、ピアノの音量にたいする理解という意味では大いに助かった。ピアノの音は上下の部屋にけっこう響く。とりあえず10数万かけてサイレント機能を施し、ふだん夕刻以降は音を出さないよう心がけているが、やっぱりライブ当日の昼間とかになると、嫁ハンはガンガン弾いてしまうのだ。
Tさん一家はそのあたりの事情をよくご存じ、ありがたいことに苦情からは回避。ただ一度だけあきらかに酔っぱらったご主人がウルサイと怒鳴り込んできたことがあり(そのとき私は不在)、嫁ハンはあわててビール6缶パックを片手に謝りに行くと(酔っ払いに缶ビールというのもヘンな話)、奥様はかえって恐縮していたという。
その娘さんもすでにお嫁入り、そして嫁ハンがいま一番不安に思っているのは、次に階下にやってくるだろうご家族は、どこまでピアノの音に理解があるだろうかということ。どんなに流麗なメロディを奏でたところで、他人にとっては単なる騒音にしかすぎないということは、世に絶えることなき揉め事いくつもが証明しているから。
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