ずっとリアルタイムで寄り添ってきたミュージシャンの伝記映画は、時代おりおりの自分史がそこにオーバーラップして、物語がより味わい深いものとなる。ただ自分自身がやたらと入れ込んだ対象の場合には、事実確認という名のツッコミに終始してしまい、ひとつの映画作品としてあまり楽しめないこともままあったりする。
早いもので没後10年になるホイットニー・ヒューストン。デビュー盤だけはやたら聴いたが、その後はそこそこ、ライブにも行けずのまま。ただこのくらいの距離感のほうが、かえって脳内の記憶中枢が刺激されて前のめり感が強くなる。もちろん4年前のドキュメンタリー「ホイットニー」が予習機能を果たしてくれた部分もあるけど。
ごくごく真っ当、これぞ万人が楽しめる伝記映画。どこまでも時系列に忠実、アート的にゆがめた表現やひねりを効かせた心理描写、余分な伏線はいっさいなく、周辺人物のキャラ設定も明快で名曲が流れるタイミングもバッチリ。こういう部分に深みとコクのなさを感じ、映画作品としての物足らなさを覚える向きがあるかもしれない。
ホイットニーを熱演したのは英国人ナオミ・アッキー30歳。「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」に出ていたとか。そして洋楽ファンにはおなじみ、アリスタの創始者クライヴ・デイヴィスにはスタンリー・トゥッチ。これぞハマリ役というか、年月を経るほどいまのスタンリー・トゥッチっぽくなっていくのが面白かったです。
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