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2022年12月12日17:00

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「夜、鳥たちが啼く」〜不器用な羽ばたき

とある地方都市でコピー機メンテの外回り仕事に就きながら作家をめざす慎一(山田裕貴)。彼が住む寂れた一軒家にシングルマザーの裕子(松本まりか)が息子アキラを連れてやってくる。慎一はふたりを一軒家に住まわせ、自身は別棟のプレハブで創作活動に勤しむ。著作が次々と映画化されている故・佐藤泰志の短編小説が原作。

別の女性との諍いを中心に、慎一の過去場面はときおり挟まれるものの、彼と裕子の出会いから現在の状況に至る経緯に関してはまったく説明がないまま進んでいく。奇妙な距離のまま生活を続けるふたりの気持ちの揺れがこの物語の主題だと誰しもわかるものの、思ったような進捗はしばらく見られず、観る側はややいらだちを覚える。

タイトル通り夜の場面が多く、たとえ白昼のシーンでもスクリーンはジメッとした暗さをたたえたまま。この質感は原作者の小説映画化作品に共通したもの、そしてリアルな日常生活を描いた日本映画が苦手なひとは、おそらくこういう湿度にアレルギー反応を示すのでは。ちなみに今回の監督は「アルプススタンドのはしの方」の城定貞夫。

展開が一件落着感を見せたあともしばらく物語は続く。これを余韻ととらえるか冗長とみなすか。そしてこの収束模様はある意味意外に映り、消化不良と感じるひともいるはず。主演のふたりにあまりなじみがなかったぶん(こちらが過去作品を観ていないだけか)、あまり上手な生き方のできない彼らにリアリティを感じました。
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