19世紀末、新聞に載ったネコのイラストがイギリス全土で大人気、実在した画家ルイス・ウェインの物語。78年にわたる生涯を演じるのは、物事に没頭したら周りが見えなくなる変わり者を演じさせたら天下一品、というか英国映画においてそのあたりを一手に引き受けているベネディクト・カンパーバッチ。彼は製作総指揮も担当。
ユーモラスでやや奇行めいた主人公ルイスのキャラはさておき、事実に忠実であることを尊重したのだろう、物語そのものには思ったほどの起伏はなく、じっくりと年月をたどっていったように思える。そのぶん後半に進むにつれてファンタジー的要素が顔を出し、ときおり絵画のように優しく美しいカットに出会えたりする。
主に描かれるのは19世紀末からのほぼ40年間、上流階級に生まれた長兄のルイスそして妹5人という構成の一家が、時を経るにしたがってその言葉遣いやファッションに、少しずつくだけた部分が垣間見えてくるのが興味深い。意外な人物がある著名人の役で一瞬登場、そうそう彼はこのところ俳優業もこなしていたのだった。
原題が”The Electrical Life of Louis Wain”、なぜElectricalなのかいまひとつ解らず。当時のひとはいまの“AI”のように、電気に特別な思いがあったのだろうか。エンドロールが“ロール“でなく紙芝居風の素朴な味わい。ルイス自身の手になるさまざまなタッチのネコのイラストは、物語が後半に進むにつれてふんだんに味わえます。
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