ダイアナを演じるのがクリステン・スチュアートと知ったとき、ああこれはヒリヒリとした神経質な作品になるなと直感。世界中から愛された美しい英国公妃を描くのなら、おそらく別の女優をキャスティングしただろうし。ダイアナの人生におけるひとつの節目、女王の私邸に王族たちとともに集った1991年クリスマス前後の3日間。
ここで描かれるダイアナは、孤独にさいなまれ精神的に破綻をきたす一歩手前の女性。いらだちと悲しみの果てに突拍子もない行動もしばし、観る側は何度もあぜんとする。やがては現実離れした描写がすこしずつ織り込まれ、これらは彼女の内なる世界を具体化した表現かと納得、リアリティを追うことなどどうでもよくなってくる。
脇をしっかりと固め物語に重みをもたらしているのが、グレゴリー少佐役のティモシー・スポールと侍女マギー役のサリー・ホーキンス。この英国映画”ザ・助演”というべき名優ふたり、今回はバスに乗ったり水にもぐったりすることもなく、自己逃避に向かうダイアナを正対する角度から現実世界にしっかりと引き留める役柄。
ただでさえ気持ちが沈みがちな英国の冬。物語は寒々しく陰鬱なまま進み、それに合わせた音楽もクラシカルにときにはジャジーに悲壮感が漂うものばかり。ただ展開がハジけたとき流れる唯一のポップ・ソングは意外な楽曲、歌詞の内容からのチョイスか、ただ単に当時のヒット曲というだけか、音楽好きには気になる選曲でした。
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