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2022年07月04日12:50

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韓国映画「モガディシュ〜脱出迄の14日間」

1990年、韓国と北朝鮮は国連加盟を目指し、アフリカで活発なロビー活動を繰り広げていた。
ソマリアへ赴任中の韓国のハン大使(キム・ユンソク)は、大統領への手土産(ソウルオリンピックのビデオなど)をたずさえ、カン参事官(チョ・インソン)、コン書記官(チョン・マンシク)らと官邸に向かうが、あろうことか白昼、ゲリラに襲撃され、手土産は強奪される。
ボロボロの状態で官邸に辿り着くと、大統領は面会中だと告げられた。
そして大統領が、北朝鮮のソマリア大使のリム(ホ・ジュノ)と連れ立って談笑しているのを、ハン大使は目撃。

韓国大使館にもどったハンらは、襲撃も北朝鮮の差し金にちがいない、と激怒。
ソマリアは政情不安で、反体制派に北朝鮮が武器を供給している、というウワサもあった。
北のやり方に怒りがおさまらないカン参事官だったが、ハン大使は「韓国も大学生をスパイだとか共産主義者だとかデッチあげてたし・・」と苦笑する。

たまたまハン大使がリム大使と顔を合わせると、途端に険悪な雰囲気に。
リム大使は、武器供与はデタラメだ、と反発。

ところがその日、反体制派が反乱軍を組織して、大混乱。内戦が始まったのだ。

インフラが使えない。テレックスも通じず、ソウルへ状況説明ができない。
ろうそくの火をともし、ハン大使の妻(キム・ソジン)や職員たちは「ここで死ぬのか・・」と恐怖におびえていた。

反乱軍は「現大統領を支援していた」と外国人には反感を持っていて、北朝鮮大使館はそんな暴徒たちに襲撃を受け、備蓄の食料品や薬まで奪われてしまった。

リム大使はテ参事官(ク・ギョファン)や幼い子供を含む家族や職員ともども、難民のようにモガディシュの街をさまよい、韓国大使館に辿り着く。
だが当初、ハン大使は日ごろの遺恨もあり、彼らの来訪を拒否。
しかし、反乱軍の銃撃はやまない。
ついにハン大使は決断し、彼らを大使館に入れることに。

韓国大使館も火炎瓶を投げ入れられたり、もはや安全ではないため、脱出を考えないといけなかった。
しかし、大使館の中は、まさに呉越同舟状態。北の人々は子どもに、館内にかざってある、かわいいソウル五輪のマスコット人形を見せないように気を遣う。
食事の時もぎこちない。ようやくキムチをつつき、落ち着いてくる。

しかし、韓国のカン参事官は「絶好の機会」と考えていた。
北のみんなから預かったパスポートを見ながら、こっそり「転向書」をタイプしてつくっていたら、北のテ参事官に露見。ふたりははげしいケンカでもみあいになる(北朝鮮の人間を、亡命させて韓国に帰順させることはいわば手柄だったのだろう)。

だが、内戦は激しさを増し、もう北だ南だとイデオロギーを言い募っている場合ではない。国よりも命だ。
北朝鮮は国交のあるエジプト大使館を通じての脱出ルート、韓国はわりと近い距離にあるイタリア大使館に救援を求めることにした。

エジプト大使館からは断られたものの、イタリア大使館は、ケニアへ向かう赤十字の救援機を手配できるという。
だが、イタリア大使からは、「北朝鮮とは国交がないので、乗せるわけにはいきません」と告げられた。

苦悩したハン大使はイタリア側に「北朝鮮大使館の人間は、全員南に転向したんです。それなら韓国国民とみなして乗れますよね」と交渉、同乗させてもらうことを取りつけた。

しかし、これからがまた命がけだった。韓国、北朝鮮、大使館関係者が全員、イタリア大使館まで、たどりつかないといけない。
リム大使は、防弾ガラスがわりに、大使館に残っている書籍をクルマにくくりつけるように指示。
3台のクルマに分乗してイタリア大使館を目指すものの、反乱軍の執拗な銃撃に随所で遭遇、ハン大使も必死の形相で銃弾をかいくぐり、決死の覚悟でクルマを走らせるのだった。

ついに辿り着いたイタリア大使館。しかし、北のテ参事官は、被弾し、運転席でこと切れていた。

赤十字の救援機には、あちこちの国の外国人たちがすし詰めになっていた。
リム大使らは、ひさしぶりにピョンヤンに帰国して家族に会える、と喜びを漏らす。
ナイロビ空港に到着して助かったのを実感したものの、空港に韓国の公安の人間が待機しているのを、ハン大使は見逃さなかった。このままだと北の彼らは、即、拘束され、強制的に「転向」させられる。

ハン大使は、そのことを告げ、ここでお別れだと言い、北朝鮮のみなさんは我々が降りた後、他の外国人に続いて降りてください、と言う。

そして飛行機から降りた彼らは、目を合わすこともなく、それぞれの関係者が待つバスに乗り込んで去っていくのだった。


実際にあった、ソマリア内戦時の南北の脱出劇をもとにしたサスペンス。
反発し合う南北の人間、突然投げ込まれた過酷な運命、敵対する南北両者が、命の危機に瀕したことで協力し合い、心を通わせたものの、政治の非情さの中で、最後は無言のまま去っていく・・・
いかにも韓国映画らしい、ドラマティックでヒューマンあふれるストーリーだ。
ハン大使とリム大使が、友情を感じながらも、最後はその思いを断ち切るように別れるシーンは、やはり切ないものがあった。
銃撃を受けながらのハードなカーチェイスのシーンなど、みどころは満載。
昨年、韓国で1番のヒット作だったというのもうなずける。
めずらしく一緒に観に行った夫は「韓国大使も、北朝鮮大使も、いわゆる『イケメン俳優』じゃないところがいい。日本でこの手の映画を作るとなると、いかにもカッコいい俳優を起用するだろうけど」と言っておりました。
撮影は、さすがにソマリアでは不可能で、モロッコでロケされたそうです。
(7月3日、大阪ステーションシティシネマ)
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