是枝裕和監督最新作。クリーニング店を営むサンヒョン(ソン・ガンホ)と児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)、赤ちゃんポストに預けられた赤ん坊を持ち去って売り飛ばすことが彼らの闇稼業。ポストを利用したソヨン(イ・ジウン)とともに養父母探しの旅に出た彼らは、刑事スジン(ぺ・ドゥナ)たちに尾行されていた…。
韓国をほぼ縦断するロードムービー、道行きにはいつのまにか施設の男の子(子どもというのはいつも正直、彼の無邪気な言葉が物語のスパイス的要素)も同行、一行は疑似家族の様相となり、観る側はやはりここで「万引き家族」を連想。それはある地点からのイ・ジウンに松岡茉優に似た雰囲気が漂ってくるからかもしれない。
そう、今回もっとも印象に残った存在は、この作品にてカンヌ映画祭男優賞に輝いたソン・ガンホよりむしろイ・ジウンかなと。一度は赤ちゃんポストに預けようとしたとはいえ、自らがお腹を痛めて産んだ男の子が、代わる代わる目の前に現れる大人たちにほんろうされ、心が揺れ動く母親を無愛想な態度の裏側で実に巧みに表現。
かけがえのない存在〜ひとりの赤ん坊をめぐって周りの大人たちのさまざまな思いが交差する終盤の構成力は見事。途中で3通りぐらいの結末を考えてみたけれど、きっちりすべて裏切られて着地。親子あるいは家族のありかたを「そして父になる」や「万引き家族」等、これまでの優れた是枝作品と比較してみるのも興味深いと思います。
ログインしてコメントを確認・投稿する