凪良ゆうの本屋大賞受賞小説を李相日監督にて映画化。公園で出会った少女・更紗と自宅で2か月の時をすごした大学生・文(松坂桃季)、やがて彼は誘拐の罪で逮捕されてしまう。事件の加害者という烙印を押され続けてきた彼は、15年後に更紗(広瀬すず)と偶然の再会。彼女もまた”被害女児”という運命を背負って生きてきたのだった…。
全体の枠組みがある程度見える地点にたどりついても、物語はそこから先へけっして急ごうとしない。このやり場のない愛憎劇が続く150分の長尺にじっくりとつきあえるかどうか、観る側が試されているようであり、イライラを感じるひともいるはず。世間との抗いという部分においては多少脇の甘いところがあるように思ったけど。
広瀬すずも松坂桃季も、”演技の幅がぐっと広がった”などと後々語られる作品となるかも。映画作品でのふたりしか観ていないけど、鬼気迫る表情がこれまでとはまったく別の存在のよう。横浜流星が好演と評判だけど、彼を観るのはほとんど初めてなのでなんとも。あと10代の更紗を演じた白鳥玉季ちゃんの多彩な表情には圧倒されたまま。
先入観という言葉は甘んじて受けるとして「パラサイト 半地下の家族」「バーニング 劇場版」の撮影監督ホン・ギョンピョがとらえた、ある地方都市のリリカルな情景が美しい。ごく周辺はすでに暗いのに遠くのほうはまだ夕日が射して明るい…たそがれどき特有の陰影がすばらしく、スクリーンから独特の質感を味わいました。
ログインしてコメントを確認・投稿する