北アイルランド・ベルファストに暮らす9歳の少年バディ、彼はその後何年も続くことになる“北アイルランド紛争”の発端、カトリック住民がプロテスタントの武装集団に襲撃される光景を目の当たりにする…。監督・製作・脚本を担当したケネス・ブラナーの自伝的作品。メインキャストはほぼアイルランド出身の俳優で構成。
穏やかな日々を過ごしていた近隣住民は宗教的対立から分断を余儀なくされ、バディの家族もベルファストを離れるか否かの決断を強いられる。厳しい環境の下でもけっしてユーモアを忘れないアイリッシュ気質、とりわけバディの祖父母(祖母役になんとジュディ・デンチ!)が口にするいくつかの言葉は優しさと含蓄に富んでいる。
そしてバディの家族は映画・演劇鑑賞も忘れない。その一本目は私も母に連れられ、劇場で観たおそらく最初の洋画だったので驚いた。調べるとケネス・ブラナーは私より4か月だけ年上、のんびりと子供だけでつるんでいた日本の少年にくらべると、この紛争とは関係なくバディのほうが日常的に大人の世界に首を突っ込んでいたような。
絶妙のタイミングで流れるいくつかの楽曲は、やはりベルファスト出身の大物ミュージシャンのもの。いや彼の楽曲以外の選曲もまた印象的。バディとその一家の行く末に、誰しも半世紀あまりが過ぎたまさに現在の世界情勢を投影してしまうはず。とても悲しくつらいことだけど、ある意味タイムリーな作品となってしまいました。
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