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2022年02月14日08:03

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1519

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1519       

砂原浩太朗 「黛家の兄弟」

前作の「高瀬庄左衛門御留書」が大変評判がよく、
それに続いての本作品である。実際、僕も前作を
読んだが、完成度の高さに驚いた。さらに気品も
あり、藤澤周平を最高峰とする山脈に新たな秀峰が
現れたと思った。

前作も江戸時代の小藩が舞台だったが、前作では
主人公は壮年の下級武士だった。今回は若い筆頭
家老の三男が主人公である。

話の骨格は藩における派遣争いである。つまり
主人公の筆頭家老一家と次席家老一家の争いだ。
次席家老は、娘を藩主の側室に出し、藩主との
絆を深め、筆頭家老の座を狙っている。

筆頭家老の黛家では、長男が後継ぎで、三男は
大目付の家へ婿養子として入る。次男はどうかと
言えば、放蕩息子で遊びまくっている。また
次席家老の嫡男も放蕩息子。このそれぞれの
放蕩息子はそれぞれ徒党を組み反目しあっている。
次席家老の嫡男らが色町で暴れ、それを黛の次男が
戒めようとし、その結果、彼は次席家老の嫡男を
殺してしまう。

本来は次席家老の嫡男らの悪さが原因の事件だが、
喧嘩両成敗を次席家老を主張し、その流れの中で
目付補佐の黛家三男で大目付の婿は、兄に切腹を
命ずることになる・・・。

ここまでが第1部で、第2部は13年後の話。
次席家老は筆頭家老に出世し、”この世の春”と
なっているが・・・。

ネタバレになってしまうが、これは復讐劇である。
兄と弟が協力し敵の元次席家老を追い詰める話だが、
この兄と弟が音信不通なのに息を合わせるのが
不自然な感じがする。また主人公の竹馬の友が
主人公に仕えることになるが、その後裏切る。
この変節がやはり不自然な感じがする。このほか
登場人物のキャラ設定も荒い感じがした。

全体に話を創りすぎで、無理があるように感じた。

前作を100点とすれば、本作は75点くらいか。

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