このところ海外映画賞受賞のニュースが次々と飛びこんでくる、ことしの邦画を代表する一作と言っていい「ドライブ・マイ・カー」、その監督濱口竜介がそれ以前に製作した短編3本からなるオムニバス作品。もちろん濱口監督自らがすべての脚本を担当。この作品もベルリン国際映画祭にて銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞。
“偶然と想像”とはまさにピッタリのタイトル、3作品ともほぼ1対1の会話劇に終始、まるで“台本を読むような”セリフまわしの連続…これぞ濱口マジックというべき感触はここでも健在。ときにはイラッとした思いになりながらも、いかにも現代風な語彙や間合いが重なる会話の行間に、観る側は想像力をふくらませることになる。
そしてそのどれもに想像をこえた偶然が起き、センシティブなやりとりが続いてスクリーンには緊張感が走る。とたんに対話する両者のエゴがむき出しとなり…ふだんは脇役に徹することの多い女優や男優、そしてまだまだ名を知られていない若手俳優たちが、ここぞとばかり人間の本性をあらわにした演技を繰り広げる。
スピーディーな展開があるわけでもなく、むしろ作品全体の流れはゆったりとしているのに、その尺を冗長に感じさせないのが濱口作品の魅力。1本40分でも実に巧くまとめるなと。いかにもイマ風な日本的言い回しがどう訳されているのかわからないけれど、海外とりわけ欧州で高評価を得ているのはよくわかるような気がしました。
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