屈辱のCS敗戦からわずか1か月、文章化し全体の構成をととのえたライターのかたにとっては大変な作業だったのでは。もっともどう転んでもそれなりのカタチで世に出るよう早いうちから準備されていたようで、佐藤輝は8月末あたりの印象をベースにしている様子、肝心のサブタイトルに関してはあまり具体的な記述がなかったような。
なのでどうしても水増し感はぬぐえず、ときおり自慢話めいたものを混ぜながら、著者自身がたどってきた栄光と苦悩の道のりを振り返る記述多し。いまさらそんなこと知っとるわいとも思ったりもしたが、若い阪神ファンにとってそれは貴重な昭和猛虎伝に映るのだろう。あと図表がやや多め、なかには面白い切り口のものもあったけど。
ただ、試合中継の解説のさいにはややしつこく感じる著者お得意のバッティング理論・技術論に関しては、今回文章にされたものをゆっくりと読むと、想像力も喚起されて実にわかりやすく、バッティングというのは実に奥の深いものだなとしみじみ感じた。そしてその部分こそ真っ先に読むべきなのは佐藤輝と大山なのではないかとも。
企画当初のテーマはどうも”佐藤輝明は次代のミスター・タイガースとなれるか”だったような。ところが彼自身もチームも終盤失速、急きょ路線変更を強いられた印象。このタイトルにしては大山に関する記述が少ないのもそれを物語るような。どちらにしても他チームの四番、村上や岡本と互角に渡り合える存在早く出でよということですね。
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