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2021年11月20日11:00

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1499

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1499       

新川帆立 「元彼の遺言状」        

本格ミステリーの新人作家の登場である。
彼女は弁護士資格を持ち、大手弁護士事務所で
働いた経験を持つ。その経験が作品の随所に
表れている。

この小説の”つかみ”が普通でない。
主人公は若い弁護士の女性だが、かつて交際
していた元カレが奇妙な遺言を残したことを
彼の友人から知らされる。それは「僕の財産は
僕を殺した犯人に譲る」というもの。

彼女はその友人の依頼を受け、友人を犯人に
仕立て上げるべく元カレ親族の「犯人選考会」に
乗り込む。この一族は上場している同族会社で
あり、亡くなった元カレの遺産は莫大な
ものだった。

また、遺産を受け取る資格をもつ人たちの
リストがあり、殺害者以外にも元カレが
つきあった女性たちが含まれていた。

亡くなった元カレの親族は、それぞれ遺産が
他人にわたることを警戒しており、また
それぞれの元カレとの関係も一様でない。
それぞれの関係者のキャラが立っており、
登場人物は少なくないが分かりにくいことは
ない。

そして、本格ミステリーにとって大切な
犯人捜しのヒントもフェアに提示されている。

文章はゴツゴツしていて、まだこなれていない
印象だが、着想の新鮮さは評価すべきと思う。

主人公は拝金主義者であり、つきあう男性に
対しても厳しく接する。嫌味な性格ではあるが、
そのこともユニークだ。

作者自身、1991年生まれ、東大法学部卒で
弁護士であり、まるて作品の主人公そのまま
という感じだが、性格はどうなんだろう?と
少し気になる。



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