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2021年11月10日22:16

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海溝

薄らオレンジの光
見上げている
天井の幾何学
黒い髪
白い肌
罪悪感はビバレッジ
天国へはこの道ですか?
甘い香り
見つめる
君の指
腹の上
濁音符を並べる
槍衾の髪その隙間から
赤らむ耳朶が見えたそうして気づく
手首に幾筋もの跡
歪んだ五線譜
調べは長調
透明な羽
海を渡る
救いを求めて
とめどなく
増す情欲に戸惑う
世界線?
その何処かにそっと
置き去られた躰
寄り添いたい
祈りにも似て
吐息は詠唱

人生を細分してその一個をここに捧げる
君の手の中に埋葬してくれ

「誰かが言ってたよ」
「なんて?」
「『みんな天国に行きたがるのに誰も死にたがらない』って」
君が笑った
歯に韮
生き生きとして見えたきっと
数日後には芽を伸ばすだろう
それが使命
命の
果てる為に産まれる
「朝日をみて『夕方には沈む』なんて思わないだろ?」
「私は思う」
「ただ『美しい』だけいい。僕らにはそれが許されている」
頬に触れる
瞳から一滴の海
苦海
残響する語感
僕は溺れる
沈降する
海溝のように開いた
腿の内の深い闇に
ぼくぼくと立ち上る気泡
ひとつひとつを
惑星のように眺めながら
消えてゆく
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