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2021年10月01日15:00

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「サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜」〜リアルな擬似体験

恋人ルーとロックバンドを組むドラマーのルーベン(リズ・アーメッド)は、トレーラーハウスでの生活をベースに、全米各地を巡るライブツアーに明け暮れる日々。ところがある日突然、ルーベンは自身の聴覚に変調をきたしていると気がつく…。ことしのアカデミー作品賞ノミネートの1作、Amazon Prime Videoを経て劇場公開。

やがてルーベンは難聴者が集う支援コミュニティに入所、まだまだ現実を受け止められない彼は自暴自棄の日々を送る。ところがある男の子とのささいなやりとりをきっかけにして、自らが置かれた状況と真正面から取り組むことを決意…などとはすんなりいかず、後半にはまた違った状況下におけるシリアスなドラマが待っている。

この作品最大の特徴は、徐々に衰弱するルーベンの聴覚が擬似体験できること。ぼんやりとくぐもった音、イラッとする金属音、ザラついた不快な音…すべて生々しく響く。さらに聴覚障害を持つ鑑賞者のため、背景の音響などを説明する字幕も用意、このふたつの効果が巧みに重なって、物語に大きなリアリティをもたらしている。

ある意味衝撃的なエンディング、ルーベンのその後は観る側の想像力に委ねられているように思うがどうだろうか。あと一般的な映画作品には必須のある効果がこの作品にはいっさいなし、間違いなくこれは作り手の意図するところ。アカデミー音響賞は当然の結果、邦題のみに付けられたサブタイトルがずしりと重く突き刺さる傑作でした。
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