そのものズバリのゆるぎないタイトル、新潮新書という一般向けの活字媒体、ベテラン音楽評論家による執筆。これはある意味開き直った、ごくごく平易な編年体の入門書ではないのだろうか。そうでなければ、これまでさんざん語りつくされた彼ら、いまさらどんな切り口が残されているというのだ…と、これは誰しも感じる疑問だと思う。
そのあたり著者は百も承知、”はじめに”と題された巻頭の3ページにきっちりと答えは用意、これは思わずページをすすめたくなる導入部。結論から言うと、まったくのビギナーにはちょっと敷居が高く、彼らにたいする知識がある程度あったほうがより深く味わえるのではないかと。いわゆる”4人の若者成功譚”にはあらずということで。
ひとことで言うと”ビートルズはいかにしてビートルズとなったか”。リヴァプールという街の歴史、スキッフル等デビュー以前の英大衆音楽事情、彼らの音楽的ベースというべきR&BとR&R。さらにデビュー後影響をあたえたインド音楽やカリブ海の音楽。彼らを彼らたらしめている様々な要素をわかりやすく解説した一冊と言えるかも。
なのでジョン・ポール・ジョージ・リンゴを主語にした文章が、他のビートルズ本よりはぐっと少ないような印象。そのぶん様々なジャンルの大衆音楽の歴史がひもとけるということ。ただ2021年ならではの視点は期待していたより少なかったかな。スティーヴ・ジョブズのほうのアップルとの対比はとても興味深く読めたけれど。
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