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2021年08月22日09:47

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1482

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1482         

佐藤究 「QJKJQ」                

先日この作家は直木賞を受賞したが、本作品は作家が
純文学から大衆文学へと方針を変えた最初の作品で、
江戸川乱歩賞の受賞作品。

ミステリーではあるが、ホラー的な作品だ。

主人公は女子高生。彼女は両親と兄との4人家族。
この家族の設定がすごい。全員殺人者なのだ。
兄、母、父は、それぞれ自宅内の部屋で人をまねき
殺人を繰り返しているようだ。女子高生は例外で、
家の外でたまたま知り合った男性を殺す。

そして兄が自室で殺され、その死体を女子高生は
発見する。そのことを彼女は父と母に報告するが、
彼らはいたって冷静だ。(それは何故なのか?)
しばらくして彼女は兄の部屋に行くが死体は
消えていた。

さらに、その後母親がいなくなった。このことに
ついても父親は冷静だ。家には防犯カメラがあり、
兄の死体の搬送にしても母の家出にしてもカメラに
記録されているはずなのに、それらがない。
(それは何故なのか?)

父親は娘に3日間家を出なさいと指示し、彼女は
出ていく。公園で少し変わった30代のOLと
出会う。彼女の趣味は鳩殺しなのだ。(それは
何故なのか?)この2人は親しくなり、女子高生は
OL風の女性のマンションに行く・・・。

奇妙なストーリーだが、少しずつ真相が明らかに
されていく。これから読む人のためにネタを
明かすことはできないが、主人公の出自が謎の
出発点となっている。

ストーリーの設定そのものが異常ではあるが、
殺人とはそもそも何か、国家とはどういう存在
なのかという壮大なテーマに著者は挑戦している。
この挑戦が必ずしも本作品で成功しているとは
僕は思わないが、このようなテーマをこのような
形で料理した作家は稀有なだけに、今後注目
していきたい。

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