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2021年07月26日12:55

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映画「アジアの天使」

売れない小説家の剛(池松壮亮)は、妻を病気で亡くし、幼い息子の学(佐藤凌)を連れ、兄の透(オダギリジョー)が住む韓国へ。
透から、こちらで仕事があるから、と言われていたのだ。

ところがいい加減な性格の透の言うことはあてにならず、剛は途方に暮れる。
透は「この国で覚えておけばいい言葉がふたつだけ。『メクチュ チュセヨ』(ビールください)と『サランヘヨ』(愛してる)だ」とふそぶく。

買い物に行った先で剛は、ショッピングセンターのステージでひとり歌うソル(チェ・ヒソ)が気になる。
ソルはアイドル歌手だったが人気は落ち目になり、今回も買い物客で、誰も彼女の歌を聴く人はいない。
そのあと剛は、偶然酒場で、酔っぱらったソルと一緒になる。

コスメ輸入販売の仕事がこれからはもうかるから、と安請け合いする透だったが、韓国人の仕事のパートナーに、商品を持ち逃げされてしまった。
しかしまた透は、「今はワカメがもうかる!」と言い出す。
こうしてソウルから透、剛、学の三人は韓国北東部の江陵(カンヌン)へ向かうことに。

ソルは両親を亡くし、兄のジョンウ(キム・ミンジェ)と妹のポム(イム・イェワン)と三人暮らし。しかし、どうも諍いが絶えない。
ソルはプロダクションで契約を切られ、失意のまま夜、ソウルの街を歩いていると、橋の上で「天使」を目撃するのだった。

江陵に向かう列車の中で、剛たちとソルたち兄妹は出会うが、剛はソルとの再会に驚く。
ソルたちは、両親の墓参りに行く途中だった。
そのため旅は道連れ、とばかりに両者はその後列車を降りた後も食事を共にしたりするが、ジョンウは日韓の国民が、互いに悪感情を抱いている、という世論調査のニュースを持ち出し、おれたちはわかりあえないんだよなー、と言い出す。

しかしその後、成り行きから両者は、江陵までいっしょの旅をすることになってしまった。
学が熱を出したり、医者をさがしてジョンウたちも奔走。
また、剛が若くして妻を亡くしたことを知ると、両親がいないソルたちも、身内を早く失う悲しみを共有することになる。
こうして、どこかとげとげしいところのあった両者もうちとけていき、ソルは、剛と透が子ども時代に「天使」を目撃したことを知るのだった。

わたしは「ロードムービー」というジャンルの映画が大好きなのだが、まさに本作も、偶然も重なって、まったく生まれた国も環境も違うふたつの家族が、ドタバタを重ねて旅をする物語。
ソルたち兄妹が、旅の中で、本心を知り合い、すこしずつわだかまりが溶けていく様子がいい。
ジョンウが、妹のアイドル時代のCDを山のように買い込んでいたのがわかり、ソルはうっとおしく感じつつも兄の愛情を感じていく。

しかし「天使を目撃する」とか、設定やセリフがあまりにベタなところがあるのがまあ、ご愛嬌か。
最後に登場する天使(芹澤興人)が、あまりにも情けない容貌の天使なので笑わされますが。

ソル役のチェ・ヒソは「金子文子と朴烈」で文子役を熱演。
実は一昨年の大阪アジアン映画祭でゲストに来られ、間近で見たことがあるが、とてもきれいな女優さん。お父さんの仕事のため、10代の頃大阪に住んでいたとかで日本語も堪能。それで「日本の映画にも出てくださいね!」と彼女につい話しかけたのだが、こんなに早くそれが実現されてうれしい。
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学役の男の子・佐藤凌くんはセリフはないんだけど、異国に突然連れて来られて不安感いっぱいの様子がありありと出ていて、すごく存在感のある子役だ。
ジョンウ役のキム・ミンジェ、風貌と言い、どこか日本の俳優の佐藤二朗を思わせるところがあります。
脚本・監督は石井裕也。
(7月16日、テアトル梅田)
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