恋人たちが手を繋ぎ
夜を蹴散らし歩く街
私は独り空を見上げ
薄らめた青が集い群れ
群青になるのを呆然眺む
寿司が降る
雲一つ無い空から
寿司が降る
私の悲しみそのままに
街を塗り潰してしまうほどに
何度も画面を指で触れ
貴方の文字を探したの
千切れそうな耳を傾け
鳴るはずの無い音を聴く
群青に呑まれ私
いっそ青く混ざろうか?
寿司が降る
群青を貫いて
寿司が降る
想い想いの寿司ネタで
尽くせぬ言葉が溢れくる
アスファルトに酢飯が積もる
街を白く変えてゆく
一人佇む私の肩に
ポツリと中トロ舞い降りた
悲しみも寿司と同じ
ネタとシャリに別れるの?
貴方と私
一つの悲しみだと信じてた
でも今の私
ネタの剥がれたシャリ
誰かの靴に踏みしだかれて
潰れて黒く地面に消える
寿司よ降れ
青の群を泳いで
寿司よ降れ
この街を沈めてよ
この夜を海に変えてよ
甘エビ
イクラ
タマゴにヒラメ
貴方の好きなウニが一貫
私の頬を優しく打った
寿司が降る
私の青を引き裂いて
寿司が降る
ワサビの香りを漂わせ
涙の言い訳私にくれた
ログインしてコメントを確認・投稿する