「１秒先の彼女」〜七月七日のタイムラグ

何をするにもワンテンポ早いアラサーおひとり女子郵便局員シャオチー、そして何をするにもワンテンポ遅いバス運転手グアタイ。ふたりのあいだに生じるささやかな時差が、七夕バレンタインデー(という風習が台湾にはあるのだろうか)の1日を消し去ってしまう…。チェン・ユーシュン監督が贈るファンタジック・ラブコメディ。

ふたりの時間にたいする感覚の違いが、そのまま作品全体のスピード感となって反映、シャオチーのせわしない日々を追う前半部分は、いたるところに笑いが散りばめられて、そのテンポに委ねることが実に心地よく、そのぶんグアタイの感覚に合わせてやや減速しながら謎解きの要素もふくんだ後半部分は、ややもっさりした印象を受けた。

できることなら前半部分の疾走感のまま最後まで突き抜けてほしかったけど、それを言っては作品全体の作りを否定するようで身も蓋もないか。まあそれだけシャオチー役のリー・ペイユーは、かって「アメリ」で初めてオドレイ・トトゥに出会ったときのような、コケティッシュな魅力にあふれていたということです。

台湾郵便局の生活感あふれる業務風景は興味深く、台北最新の商業施設から地方都市のゆったりした空気、さらに風光明媚な海辺の光景まで、随所にいまの台湾が映し出されて旅愁が高まる。映画チケット半券持参プレゼントということで、この季節にピッタリの清涼感、「春水堂」のピーナッツ豆花を美味しくいただきました。