舞台はマルセイユ近郊の寂れた入江町。老いた父親が突然倒れ、家業の食堂を営む長男のもとに、ベテラン女優としてパリで活躍する長女、そして大学教授の職をリストラされた皮肉屋の次男(連れてきた婚約者がやたらと若いのがいかにもフランス)が戻ってくる。それぞれが過去を秘めながら、父親最期の日々に向き合っていく。
物語は静かにゆっくりと進む。過疎化が進む漁師町、父親はほぼ意識のない状態。家族にカラむのがご近所の老夫婦とその息子そして若い漁師のみ。このあまりにも閉鎖的な状況では、たいして何も起きないまま終わってしまうのでは…。観る側はときおり顔を出すいくつかの”外部“が、物語の起爆剤になってくれないかと期待してしまう。
ところがほとんど終盤にさしかかったあたりで、思いもよらない“外部”〜チラシ等にはしっかり謳ってあるけどあえてここでは書かない〜との遭遇、直面した家族はその絆を試されることになる。本来ならここから一編の物語を始めてもぜんぜんおかしくない展開、ありきたりな表現ながらこの続きは観る側の想像力ということになる。
静けさが漂うのは、音楽がいっさい流れないからか…と思っていたあたりでいきなりある有名曲が鳴り響き不思議な感覚。あとからわかったことだけど、これはロベール・ゲディギャン監督による巧妙な仕掛け。このマジカルなシーンをスパイス的に挟むことによって、家族の絆というこの作品のテーマがより際立ったなと確信しました。
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