北朝鮮強制収容所の過酷な現実を、実際に収容体験をもつ脱北者からの取材をもとに描いた長編3Dアニメーション。帰還事業により日本から北朝鮮に渡ったヨハン一家、父親が政治犯の疑いで逮捕され、母親とヨハン、その妹は強制収容所に連行される。10年の年月を重ねて作り上げた監督は清水ハン栄治。音楽監督には思いがけない懐かしの名前。
美しい背景はまるで実写のようでありながら3Dアニメーションによる映像であること、そしてセリフがすべて英語であること、さらに体験談を語るヨハンの講演シーンをツカミに置いて観る側を安心させたこと。制作者は作品全体にいくつものショックアブソーバーをかけてまで、この閉ざされた環境での過酷な現実を世界に訴えたかったのでは。
もしこれが生々しい実写映画で、セリフはリアルな韓国語で、ヨハンの行く末がわからないまま物語が進むとしたら、とてもつらくて観ていられなかったはず。いやいやそれでもやっぱりこのドラマはつらかった。絶望の淵をさまよう状況のなか、ときおりK-POPや韓国ドラマなど”こちら側”の断片が顔を出し、そのギャップがさらに重苦しい気分へと。
ヨハン一家は日本からの移民、折々に”日本なるもの”が登場、彼らを愛おしく思う気持ちはさらに高まっていく。コロナ禍で抑圧されている日々に、わざわざこんな作品を観てさらに気を滅入らせる必要はないのかも、いやこの厳しい現実を受け止めつつ我々はずっと幸せだと思うことも大切なのかも、そのあたりは複雑な気持ちのままというところです。
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