在宅医療や終末期医療の諸問題を、尼崎在住の在宅医・長尾和宏の同名ベストセラーをベースに、主人公・河田医師役に柄本佑を起用して映画化。監督はひさしぶりの感がある高橋伴明。この長尾医師の医療現場をとらえたドキュメンタリー「けったいな町医者」も現在上映中(毛利安孝監督)。ここでのナレーションも柄本佑。
まずは現状把握ということか、そのリアルな現場つまり家屋の居間に横たわる末期患者とその家族を、臨終の場面を挟みながら描いていく。実に真っ当な撮りかたは、まるで医療従事志望者たちが研修課程のひとつとして見る教育映画のよう、まあ河田の先輩在宅医・長野(奥田瑛二)が登場するあたりには物語に色彩が帯びてくるけれど。
そして彼もまた末期がんと闘う在宅患者、満を持したかのように本多(宇崎竜童)が登場、ここからはまさに彼の独壇場、不謹慎な表現ながら物語が一気に華やいでくる。そういえば昨年の「罪の声」で演じた男も今回の本多も、同じような過去を持つ存在、宇崎竜童はある世代に限られた、特有の体験を持つ人間がハマリ役なのかと。
末期がん患者と臨終の場面ばかり見ると、どうしても亡き母のことばかりに想いが巡ってしまった。2年半前に母を看取ったのは自宅ではなく終末医療(正式には緩和ケア)の病院だったけど。それにしてもこの重いテーマを取り上げたのが高橋伴明とは。かっては人の生き死になどまったく臆さない作品ばかり送り出していたのに。
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