渋谷の松濤で生まれ育ち、職業“家事手伝い“のままお見合いを繰り返す華子。いっぽう富山で生まれ大学進学を機に上京するも、日々の生活に意味を見いだせず都会の片隅でもがく美紀。対照的な20代後半のふたりの女性を描く。原作は山内マリコの同名小説。監督は岨手(そで)由貴子。ふたりを演じるのは門脇麦と水原希子。
…と聞けば、誰しも門脇麦が地方出身の素朴な女性、水原希子が都会的なセンスあふれる女性を演じていると思うはず。そこをあえて逆転させたキャスティングがこの作品一番の味わいどころ。そして物語前半を引っ張る最大の興味、ふたりがどのように交錯するのかという一点は、実に巧みな演出によって実現、大きなヤマ場となる。
終始気品あふれるたたずまいを見せる華子よりも、さまざまな顔を見せつつ社会で生き抜く美紀のほうに魅力を感じるのは単なる水原希子びいきのせいか。まあ美紀も一流大学に入学するし、ひとり暮らしの小さなアパートだって窓を開ければ目の前に東京タワー、パッと見だけは世間でいうところの“独身貴族”的な生活をしてるんだけど。
男性陣は総じて頼りなく(関西人デフォルメには苦笑、さしずめ“鳥貴族”)、女性の目を通して見るならば、それぞれの女友達・逸子と里英(石橋静河と山下リオ)をふくめた4人の生きかたどれかに感情移入可能。原作の一節を引用したのだろう鋭いセリフも多々、女性のありかたが問われているいまこのときこそ必見の一作だと思います。
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