CDすら過去のもの、配信・サブスク隆盛の時代にあえてフィジカル〜レコードジャケットでの表現にこだわるアートディレクター菅谷晋一。ものづくりへの情熱あふれる彼の制作過程を追ったドキュメンタリー。インタビュイーとして甲本ヒロト、真島昌利、ハマ・オカモト、信藤三雄(アートディレクター)等が登場。
まったくの素人考えながら、いまの時代ならすべてPCのなかで完結可能だろうと思われるあるバンドのレコードジャケットを、彼は実に時間と手間のかかる方法で創り上げていく。執念深さに満ちたアーティスティックな要素をそこに感じるが、彼自身のキャラはまったくの対極、終始ほんわかほのぼのしたたたずまいなのが面白い。
意図的なものだと思うけど、ドキュメンタリーの基本的ルールというべきインタビュイーの名前・肩書がいっさいテロップとして出ない。なのですぐ誰だかわかったのは上記4名のみ。他の諸氏は各バンドのメンバー等々だったとエンドロールにて初めてわかる。正直不親切だと思ったのでその意図するところを知りたいところ。
インタビュイーみな饒舌で、多角的に彼の素晴らしさを讃える言葉が連なるが、つまるところ”ジャケットも音の一部”という一点が、最終的に彼らもっとも強く主張したかったこと。始めから観る対象を絞っているような色合いも感じるけど、少なくともザ・クロマニヨンズとOKAMOTO‘Sを愛するファンにとっては必見の一本です。
ログインしてコメントを確認・投稿する