18世紀のフランス、ブルターニュ半島沖の孤島が舞台。画家マリアンヌ(ノエミ・メルラン)は、貴婦人から娘エロイーズ(アデル・エネル)のお見合い肖像画を依頼される。エロイーズが結婚に前向きではないと知って、マリアンヌは自らの身分を隠したまま絵画制作に勤しむ。いくつかの諍いを経たあと、ふたりの距離は少しずつ近づいていった。
そう、ときおり起伏を見せながらも徐々に気持ちを交わしていく女流画家と貴族の娘、ふたりの愛のゆくえとその運命にじっくりと寄り添っていくのがこの作品の味わいかた。そして絵画をテーマとしていることへの上書きなのか、色彩と光と影のアンサンブル、このうえなく美しいカットの連続は全編が一冊の画集のごとし。
終始張りつめた空気が続く。息づかいまで聴こえそうなセリフのやりとり以外は静寂ばかり。そしてその静けさをいきなり破るのが、あえて大きめの音量にしたのだろう、単なる劇伴ではなく物語へうまく溶けこんだいくつかの音楽(というのか音響というのか)。その見事な技巧に関しては観てのお楽しみということで。
監督・脚本のセリーヌ・シアマを始め、撮影監督そして主要登場人物すべてが女性。いまの時代に通じるフェミニズムの問題を織りこみながら、ほぼ芸術作品といっていい崇高な122分。いかにも”映画鑑賞”という言葉がふさわしく、官能的な場面があるも清心な気分を味わいたいときにおすすめ、いつのまにか背筋がのびているような一作だと思います。
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