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2020年11月25日19:34

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鬼滅の刃

 話題の「鬼滅の刃 無限列車編」、ようやく観てきました。

 いやー、なんかいろいろ突っ込んでますね。
 諸星大二郎や高橋葉介の伝奇ものを始め、「デビルマン」「ジョジョの奇妙な冒険」等のマンガだけでなく荒俣宏の「帝都物語」のテイストを取り込み、果ては「ハイランダー 悪魔の戦士」や「ブレイド」といった、どちらかというとあまり一般には知られてないような珍作・快作の要素もごった煮にして、盛り盛りのアクション・ファンタジーを創り上げるとは。
 ついでに言えばこの物語、「ネバダ・スミス」や「ハニー・コールダー」みたいな復讐系西部劇の匂いも感じられますね。
 原作の吾峠呼世晴という人、相当「わかって」ますなあ。

 私はアニメもマンガもまだ触れてないものですから、正直、映画版の冒頭には乗れませんでした。
 コミカルな部分はかなりスベっているようにしか思えなかったし、登場人物がどういう人達で、どこへ行って何をしようとしているのかもさっぱりわかならいし。

 ところがまあ、最初の鬼殺しのシークエンスを過ぎてからの展開の見事なこと。
 そうきたか、って感じです。
 「オリエント急行殺人事件」や「カサンドラ・クロス」のような「列車もの」の線で押しまくると同時に、「インナートリップもの」の要素まで取り込むとは。
 激しいアクションの合間に主人公・竈門炭治郎の「家族を守れず、自分だけが生き残ってしまった」というサバイバーズ・ギルトの心理を描くという趣向もいいし、また、彼の夢の中に侵入して精神の核を破壊しようとする結核の青年のエピソードも、泣かせます。

 活劇として申し分のないものに仕上がっている本作ですが、やはり注目すべきは物語の根底に流れている「人の世、かくあれかし」という願い、でしょう。
 生まれながらにして「強さ」に恵まれた者は、その力に傲り昂ってはならない。
 強い力は弱い者を守るために、世のために使わねばならない。
 シンプルだけど強固な願望、世を統べる者への期待がこの作品には色濃く描かれています。
 また、人と対立し戦う鬼の側にある、自世界のヒエラルキーへの呪詛や、戦いの矢面に立たされ使い捨てられる「下っ端」の哀しみも、観る者に強い感銘をもたらします。

 平成から令和にかけてのこの時代に生まれるべくして生まれた物語、と言えそうです。
 多くの観客に熱狂的に受け入れられたのも、納得ですね。
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