アパートの手すりにしがみつき
子供の僕は空を眺めてる
見張っていたんだ
明日の遠足を中止させる
黒い雲が来ないように
猫のような白い雲
君はきっといい雲だ
クレヨン線みたいなひこーき雲
君はただの通りすがり
デパートの頭上にかぶりつき
子供の視線が雲を見張っている
決めていたんだ
明日の遠足できっと
あの子と仲良しになるんだって
イワシみたいな雲の帯
君は晩御飯になれないね
水平線かなたの砂糖雲
明日のおやつに欠けらをおくれ
あの子の為に水筒に氷を詰めるよ
あの子のために50円おやつオーバーしたよ
あの子のせいでたぶん今夜眠れないよ
あの子の笑顔を山頂で見てみたいんだ
ルマンドの袋を爪ではじき
子供の心が小さく踊っている
「絶対に来るなよ!」
明日の遠足に
黒い雲来ても追い返してやる
多分今の僕にはきっと
あれほど純粋な想い
宿ることはないだろう
黒い雲が肺に蔓延っちまった
誰がソイツを睨んでくれ
あの子供のように
屈託のない敵意で
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