うんけー

「ぶちカッコええじゃん！これー！すげー！お前が作ったン？なぁ？これお前が作ったン？マジすげー！え？お前一人で作ったン？これ？一人で全部作ったン？まーじで？ありえんのんじゃけどーこれー。かっこえすぎるじゃろう、いや、しつこいかも知れんけどぶりかっこええわ、ほんまに。ワシめったに人褒めんけぇね。聞いてみんさいや周りのやつらに、ワシほんまにええ思うたもんしか褒めんけぇ。これなぁ、顔がかっこええわー。すごい睨んどるじゃんこれ？目が合っただけで身震いするわこれ、根性の無あもんがみたら逃げ出すでこれ。この眼の所とか口の感じとかすげーリアルじゃし見ようて飽きんわー、あとポーズがええわぁーポーズが。このポーズも自分が考えたん？マジで？お前天才なんじゃないんか？いや、言い過ぎじゃないって、このポーズとかぶーちかっこええんじゃけど。普通こんなポーズ考えつかんでしかし、すげーなお前ほんまに、ちょ握手してぇーや。ええけぇ、いや遠慮とかいらんけぇ握手さしてぇや、ほんまにお前はすごい、天才！、あとこの手に持っとる武器がかっこええ。この武器なんて言うん？この武器って売りょうるん？買えるン？宮島とかで売りょうらんのんね？この武器の持ち方とかもええし、こりゃあ何千年経ってワシらの子孫とかが見ても絶対かっこええ言いよるわー。いや謙遜すんなや。オレがこんだけ褒めようるんじゃけぇお前はいばっとったらええんじゃ。ワシこれお前が作ったゆうてみんなに教えてやるわー。まじすげーやつワシ知っとるんでぇゆうて回るわ。じゃあの……………だめじゃー！何回見てもかっこええーぶりかっこええーーーー」

　完成したばかりの東大寺金剛力士像の前に立ち、興奮冷めやらぬ様子の時の権力者、源実朝の傍ら、運慶はただただかしこまるばかり。

　『愚管抄』（ぐかんしょう）より抜粋。

　注！広島弁に翻訳されています。