大寒波の夜、オハイオ州シンシナティの公共図書館が、市の政策に不満を抱える70人のホームレスにより占拠される。図書館員スチュアートは当面の寝場所がない彼らをかくまうが、偏見と誤解が重なっていつのまにか彼は首謀者に仕立て上げられてしまう。製作・監督・脚本そして主演スチュアートを演じたのがエミリオ・エステベス。
コトが起きるまで、つまりホームレスによる立てこもりが始まるまでにけっこうな時間を要し、まずは公共図書館のありかたとその日常をていねいかつ正攻法に描写していく。伏線というかいわゆる持ち駒の配しかたが実に巧く、それらが物語後半にどう活かされるのかという好奇心が、観る側を絶えることなく引きつけていく。
地方政治と貧困社会、場当たり的なメディア、ネットによる個人情報流出、そしてタイトル(原題はシンプルに“The Public”)が示す公共性とは何か…。いまの日本においても課題とされるさまざまな社会問題を、いかにもアメリカ映画らしいユーモアで包んでいる。まあ身もふたもない着地ぶりには好き嫌いが生じるかもしれないけど。
主題歌ではないけれど、ある過去のヒット曲が重要な意味を持つ。たしかこの曲は90年代のある人気映画においてもキーとなっていた。最初のヒット時をリアルタイムで知らないし、単にアメリカ国民の愛唱歌なのかもしれないけど、その人気映画とこの作品に通じるものがあると感じたエステベスの意図的な引用なのかもしれない。
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