一昨日、急性心不全のため死去。享年61歳とはあまりにも若すぎ、私と3つしかかわらない。だからこそ同世代意識を強く感じ、氏の文章に思いを同じくすることが多かったのだろう。雑誌「ダ・カーポ」の酒呑み日記、見開き2ページコラムが最初の出会いか。編集者を引き連れ神田あたりを呑み歩く日々、在京時にはやはり神田をウロウロしていたこちらにとってもリアル。
追悼の意味をこめて印象に残った氏の著作をいくつかあげておきます。これらの著作が氏の本筋ではないと言われるのは百も承知。
◎私の体を通り過ぎていった雑誌たち(新潮文庫)
「相撲」「スクリーン」「ミュージック・マガジン」「ブルータス」「宝島」…私の体も通り過ぎていきました。同世代意識をより強く感じる一冊。
◎まぼろしの大阪(ぴあ)
大阪では常にいまはなき堂島ホテルに滞在していた氏。生粋の江戸っ子に斬られる大阪、これがなんとも心地よい。続編「大阪おもい」もあり。
◎人声天語(文春新書)
「文藝春秋」連載の時評エッセイ。新書にして1回分3ページ程度だったか。ジャンルは硬軟多岐におよび、たまに共感できない部分もあったけど。続編あり。
◎大相撲新世紀 2005-2011(PHP新書)
角界をゆるがす事件があいつぎ、白鵬と稀勢の里にこれからの土俵を託していたころ。歴史的側面におもねることなく、ミーハー目線でもなく。八百長問題が起きるのはこのあと。
他には「週刊SPA!」の福田和也氏との対談。下品で貧乏くさい週刊誌だけど、この連載だけは毎回立ち読み。
やっぱり大相撲とのかかわりが印象的。東京本場所のさいはかならずお昼前から枡席でまったりと呑まれていた氏。この初場所もてっきり観戦されているものだと。かってチェコ出身の元幕内隆の山の禿げ上がったひたいを"まるでブライアン・イーノのよう”と表現、共感できたことを読者のひとりとして誇りに思います。謹んでお悔やみ申し上げます、安らかにお眠りください。
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