山田洋次監督の映画「家族はつらいよ」舞台化。新喜劇版ではわかぎゑふが脚本と演出助手を担当。東京郊外に住む中流やや上あたりの家族のドタバタに、いかにナニワ風味を盛り込むかが見どころ。映画では橋爪功・妻夫木聡が演じた役柄をそれぞれ渋谷天外・藤山扇治郎、このキャスティングは観る前から確信していた(扇治郎は映画版でもセミレギュラー)。
家族の住まいは、同じ一戸建て住宅といえども郊外の新興住宅地にあらず谷町六丁目あたり。なので主人公周造行きつけの居酒屋は空堀商店街周辺か。映画では風吹ジュンがまことに感じのいい女将を演じているが、こちらではベタなおばちゃんキャラが人情味を満開にしていた。ikariスーパー・明星高校・阪神鳥谷と大阪ならではのキーワードがセリフに頻出。
う〜ん、もうちょっと大阪ならではのこってり感に期待していたんだけど。この雰囲気だとこの家族、大阪では上品の部類に属するかも。長年連れ添った夫婦、いきなり妻から離婚を言い渡されあわてふためく夫…基本的にはこのシリーズ1作目の筋立てに忠実、各出演者も前述のふたりを筆頭にほぼ映画版のキャラを踏襲、やっぱり山田洋次先生に気を遣ったのかな。
ただ座長渋谷天外だけは自覚的だったのか、典型的な大阪のおっさんキャラ(元企業管理職だけど)で振る舞い、ほぼアドリブに近いノリで客席をイジっていく。そしてこのところの道頓堀の変貌ぶりを嘆くセリフ、これは最近の台本には毎度のように織りこまれているような。それは松竹新喜劇を長年支え続けてきた第一人者の、感慨と意地というところなのでしょうか。
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