紛争の続く1970年代の北アイルランド、パンクロックのレーベルを立ち上げ、ほとんど壊滅状態だった辺境の地の音楽文化を再興、情勢の不安が続くなかDJ兼レコード店「Good Vibrations 」を運営した店主テリー・フーリーの物語。アイルランド=英の共同制作は7年前の2012年、この英国音楽物の掘り起こしは、やっぱり「ノーザン・ソウル」公開の余波なんだろうか。
とにかく主人公テリーの熱血漢ぶりにぐいぐい引っ張られる。ふつう個人レコード店の店主などというとちょっと斜に構えた人間像を想像するが、彼の場合は正反対、あくまでもポジティブに屈折し続けるパンク野郎をひとつに束ねていく。それはまさに熱血教師と不良少年による学園ドラマのよう、多少せわしないパンクのビートにあおられて、小気味よく物語は進んでいく。
結局のところこのレーベルからはヒット曲やビッグネームも輩出せず、観る前からその名を知るバンドもひとつだけ(Voはその後ソロデビュー、いかにも彼の若い時然とした顔立ちに苦笑)、物語終盤ではすでに80年代に突入、音楽シーンではすでに次の潮流を迎えているのだけど、そんなことまったく気にせずパンクし続けるテリーそしてすべての若き野郎どもに胸が熱くなった。
実在するミュージシャン&バンド名は連発、UK音楽ファンをニヤリとさせる小ネタはてんこ盛り。ふつうはパンクの範疇に入らないだろうあの曲をなぜエンドロールに採用したのか訊いてみたくもなり。クサい言いかただけど、知らない間に身体がビートを刻んでいるテンポのいい作品、ことし観たいくつかの音楽映画のなかでは1、2を争う傑作だと思います。
ログインしてコメントを確認・投稿する