踏切に立つ夕暮れ
スズメバチ色のバーが僕を押し止めている
(早く詩を書きたい)
明滅するLED
(コトバが脳内で熱くなりすぎて火傷しそうだ)
電車の音はまだやって来ない
(早くしてくれコトバが冷めてしまう)
後続する人の群
(詩は脳内から出さないと実在できないものか?)
電車の明かりがカーブに沿ってスライドしてくる
(脳の中にある内はまだ詩とは言えないのだ)
電車の側面が早送りで通り過ぎる
(じゃあ思い付いたけど書かれなかった詩は?産まれずして死んでしまったのか?)
この脳中に墓場がある
詩に成れなかったコトバが埋葬されている墓場
いつの日かきっと
僕もそこに埋められることを
切望してやまない
涙腺に表面張力して遂に流れなかった涙みたく
存在したのに実在なかったという何か
詩人としての僕なんて
同じようなものだ
詩になり切れなかったコトバと共に葬られるなんて
それこそ詩人の本懐ではあるまいか
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