第二次世界大戦直後のポーランド、音楽養成所で知り合った歌手ズーラとピアニストのヴィクトルは恋に落ちるも、やがてヴィクトルはパリに亡命。ズーラは公演で訪仏しふたりは再会を果たしたが…。全編モノクロ、スクリーンは4:3のスタンダードサイズ。ことしのオスカー3部門ノミネート、監督は「イーダ」のパヴェウ・パヴリコフスキ。ポーランド・英・仏共同製作。
ふたりを結びつけているのは音楽。ズーラ自身の歌唱を軸にして、ポーランド民謡に始まり、時代に沿いながら1960年代初頭あたりまでの西欧大衆音楽がジャンルを問うことなく幅広く流れる。このあたりの音楽にウンチクをタレたい輩には格好のバリエーションかも。音楽が奏でられたときだけ音量が上がったり、音質が良くなったと感じたのは気のせいか。
ズーラを演じたヨアンナ・クーリグというポーランド女優が新鮮な魅力。素の場面ではどこかやつれ気味で無愛想な感じがしなくもないけど、いったんステージに立ち、さらに歌唱シーンにくるやいっぺんに輝きと美しさが爆発、その感情表現に惹きつけられる。具体名を挙げて過去の名女優の名シーンが引用されているが、ここは先入観なしのお楽しみということで。
全編モノクロに加えて夜の場面が多く、街それぞれに陰影の具合が微妙に違うのが印象的。終盤は暗転を繰り返しながら時代をスキップ、それに反するかのようにワンシーンごとは静かな時間が流れセリフも極力控えめ。この緩急の具合が実に巧みだなと。歴史にほんろうされたふたりの行く末はいかに…。音楽映画としても超一級のラブストーリーでした。
ログインしてコメントを確認・投稿する