特に何するでもなく部屋で寝転び、テレビの音を聞きながらそれぞれのスマホをいじるという生産性のない共同作業に勤しんでいた二人、突然彼女が口火を切る。
「ねー、10回クイズしよーよ」
「え?今更?」
「うん」
「いや、うんじゃなくて」
「じゃあいきます」
勝手だ。しかし始まったものはしょうがない。
「どうぞ」
「今から私に10回『愛してる』って言ってください」
「え?」
しばし沈黙。
「嫌なの?」
「嫌とかじゃないけど何回目だよこれ?」
「5回目くらい」
「いやそんなんじゃすまない絶対10回はやってる」
「いいから言って」
「ふー」
溜息。んんっ、咳払いして。
「愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる」
「じゃあ、私のことは?」
「…………」
答えるのが面倒だから抱きしめた。
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