シドニー=ガブリエル・コレットの半生。私はこのフランス文学界を代表する女性作家のことを何も知らないくせに、これぞキーラ・ナイトレイのハマリ役だと勝手に思っていた。彼女って現代女性よりも、クラシカルな存在を演じたほうがより魅力が増す女優じゃないですか。初めのうちは素朴だった田舎娘が、やがては洗練された大人の女性に成長する、みたいなイメージ。
ところがいくつかのレビューによると、ここで描かれているコレットはちょっと平穏すぎるとか。キーラ・ナイトレイの美しさを優先したキャスティングということか、強い意志をもつ自立した女性としてはやや物足らない印象が残ったとのこと。実際の彼女は19世紀終盤のベル・エポックの時代において、誰よりも時代を先取りしかつスキャンダラスな女性だったらしい。
この作品、本来なら“コレットとその夫ウィリーの物語”とすべきかも。鼻持ちならないお調子者で浮気者の夫(ドミニク・ウェスト)の存在は大きく、物書きの先輩である彼はコレットをゴーストライターとして利用、ベストセラー作家への道をつき進んでいく。夫の影武者に徹する妻、時代こそ違えことし初めの公開「天才作家の妻 40年目の真実」が重なってくる。
20年たらずの月日を描いた物語ながら、序盤と終盤ではそれ以上の時が進んだように思えたのが興味深い。いわゆる文明の利器の発達のみならず、ファッションや言葉づかいにまでそれを感じたりも。そして女性の自立心に関しては現代とほぼかわらない印象。どこまで時代考証に忠実なのかは別として、その急進性こそがベル・エポックの時代なのでありましょう。
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