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2019年03月24日15:00

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イチローを初めて見た夜

もう何度も書いていることだけど、いままたあらためて。1992年の夏、なんばで夕食をともにした私と友人は当時「北極」の地下にあった喫茶店に入った。店内のテレビではジュニアオールスターの中継が映し出されていて、どうやら試合はすでに終わり、表彰式からMVP選手のヒーローインタビューに移ったところ、お立ち台では細身の選手が受け答えしていた。

「MVP、オリックスの鈴木やて。知ってるか?」
「知らん。(テレビを見て)こらあかんわ、プロの身体ちゃうやん」
「そやな。この試合でMVP獲った選手は大成せえへん言うしな」

友人とこんなやりとりをしたことはいまでもよく覚えている。最後のフレーズは当時球界でよく言われていたジンクス。とはいえ我々はすぐさまテレビから目を離し、野球とはまったく関係のないおしゃべりを続けた。そしてこの鈴木一朗という名の細身の選手のことは、イチローという名に改名してブレイクする2年後まですっかり忘れていた。

ちなみにこの試合のウエスタン・リーグのスタメンはのちのち伝説とか史上最強とか言われているラインナップ、捕手・矢野(中日)、遊撃・新庄(阪神)、三塁・田口(オリックス)、左翼・金本(広島)、中堅・町田(広島)、DH中村紀(近鉄)といった面々が名を連ねていて、中村紀の代打で登場して決勝2ランを打ったのがイチローというわけだ。

あとから知ったことだけど、イチローはこの日のMVP賞金100万円をそっくり神戸市に寄付したという。年棒400万円そこそこの高卒ドラフト4位ルーキーが、ヘンな言いかただけど“未だ震災に遭っていない”神戸にということ。ちょっと盛られた話かなと思ったりもするけれど、その後の彼を思うとやっぱりスゴイひとだなあと素直に納得してしまう。
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