村上春樹1983年の短編「納屋を焼く」が原作。ただ、その色合いは昨年NHKで放映された短縮版のほうに濃く出ているとか。8年ぶりのメガホンとなった監督はイ・チャンドン、代表作「オアシス」は私自身のオールタイムベストテンに唯一ランクインしている韓国映画。そしてもうひとつの傑作「シークレット・サンシャイン」も、もしマイ韓国映画ベストテンを選ぶならまちがいなくランクインする作品。
で、冒頭の数分間が「オアシス」と同じく都会の路上ロケだったので思わずニヤリ。ただそのあとはまったく対照的、物語は実にゆっくりと進んでいく。格差社会や都市と郊外の問題も織りこみながら、現代の韓国社会に生きる若い男ふたりに若い女ひとり。状況設定は十分理解した、三角関係も成立した、さあここから何か起きてくれよと思うけど、こちらの気持ちを逆なでするかのように物語はなかなか点火しない。
現代の韓国社会を生臭くとらえているわりにはどこか仮想の世界のような浮遊感。すべての演出が何かの暗喩のよう、散文詩や淡い水彩画を味わっているような感覚もあり。まあカンヌが評価したということがこの作品のすべてだったりして。しかしミステリーと謳ってあるけれど、いったいどこが謎解きなんだろう(いや、私がマジで見落としただけかも)。いろいろと腑に落ちないままエンドロールが始まった148分でした。
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