「絶景かな〜絶景かな〜」いやはや、まさに絶景でありました。片岡愛之助ふんする五右衛門が大見得を切るこの物語屈指の名場面、咲きほこる満開の桜に囲まれて、きらびやかかつ荘厳なるたたずまいは南禅寺の山門。この豪華絢爛なセットを眺めていられるのは、劇中わずか数分間のみという贅沢の極み、これぞ年のはじめにふさわしい松竹座のひと幕でありました。
数年前に観た同じ愛之助主演「システィーナ歌舞伎 GOEMON」では、ヘビメタライブを思わせる鋼鉄製のセットの上で華麗にフラメンコを踊る石川五右衛門。シロウトの私ですら「これを歌舞伎と呼んでいいものか?!」と思わせた破天荒な演出、当然のことながら賛否あいつぐことに。それでは本物をお見せしましょうと、今回は本格的な四幕物と相成った次第。
それでもスペクタクルな部分はまだまだ健在。空中にぶら下がった駕籠の中から宙づりのまま飛び出す引田天功ばりの“駕籠抜け”の大技には満場拍手大喝采。かと思いきや劇団新派を思わせるような素の芝居では場内そろってしみじみと。歌舞伎独特のセリフ回しについていくのは精一杯ながら、めくるめく場面転換の巧みさに飽きることなどいっさいなし。
今回は2階席やや端のほう、このあたりは空気が緩むのか、幕が開いているにもかかわらずオバちゃん同士のしゃべりがあちこちに。五右衛門自ら梯子を登って、2階席をナメるがごとく見栄を切ったのは、そういう輩に睨みをきかす狙いがあったのかも。もっとも劇場をあとにする際に、ロビーのどこかに藤原紀香のすがたを探すこちらもまたゲスの極みなり。
ログインしてコメントを確認・投稿する