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2018年12月17日07:34

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1312

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1312

佐々木譲 「砂の街路図」                      

冒険小説、歴史小説、警察小説など幅広いジャンルで
活躍している著者の最新作。オリジナルはハードカバー
だったが、文庫版出版に際し改稿された。

舞台は北海道の郡府と呼ばれる都市の通称・運河町と
言われるところ。この町を学校教師(32歳)の男が
訪ねる。20年前に彼の父親が、この町で不審死を
とげており、その謎を追いかける。

主人公の父親は、この町にある単科大学に在籍して
いた。学生時代に彼は漕艇部に所属していたが、
なぜか2年で彼は退部している。この頃の漕艇部は
大変強く全国大会でも入賞し、選手の中には五輪
出場の可能性もあった。だが、急激に部員数は減り、
担当の教員らも辞任している。これはいったいどういう
ことなのか。

主人公は大学の図書館などで20年前の父親の死の
報道や父親が学生時代の資料などをあさる。また、
大学で父親とともに過ごした人たちを探し当て、
当時の父親や漕艇部のことを聞きだそうとする。

著者自身、団塊の世代であり、この世代の学生
であった大学の様子はよく描かれている。

なにより、この小説の良さは旅情にあると言える。
郡府市・運河町は架空の町だが、札幌から近く
単科大学があり運河に囲まれているので、小樽を
連想させられる。だが、小樽ほど観光ずれしていないし
規模も小さく、明治時代の建物もかなり残っている
ようだ。この運河町の中を主人公は歩き回る。
バーやレストラン、大学、教会、地方新聞社、ホテル
・・・すべてがレトロなのだ。

この町が本作品の真の主人公なのかもしれない。

派手さはないが、しっぽりした感じで、おススメ
できる。

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