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2018年12月11日08:34

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1311

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1311

ヘニング・マンケル 「ピラミッド」                 

この10年あまり(それ以上か?)、僕は北欧ミステリーを
ほめちぎり、数多くの作品をここで紹介してきた。
スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイスランド
(なぜかフィンランドの小説は日本にやってこない)の
優れた作品が次から次へと翻訳、出版されてきた。

あえて“一押し”は?と聞かれれば、スウェーデンの
へニング・マンケルのヴァランダー刑事シリーズを
推す。

スウェーデンの警察小説と言えば、今から50〜40年前の
マルティン・ベック刑事シリーズが有名だが、ヴァランダー・
シリーズは明らかにベック・シリーズから影響を受けている。
単なる犯罪捜査の話ではなく、国家・社会の根底の
問題を取り上げ、読者に警鐘を鳴らしているのだ。

スウェーデンと言うと、一般的には高度な福祉社会で
国民の生活満足度は高いと思われていたが、実は
そうでもないということを描き出している。増え続ける移民、
麻薬、児童虐待やレイプ、殺人と、アメリカあたりと
変わらない問題を抱えている国なのだ。

少ない予算と少ない署員数、増える残業という条件下で
ヴァランダーは同僚とともに犯罪に取り組み奮闘する。

本作品は、このシリーズの番外編とも言うもの。
というのはシリーズは中年になった主人公から始まって
いるが、本作品は警察官になりたての若いヴァランダー
を見ることができる。長編ではなく中短編5編が収め
られている。

著者は既に他界しているが、シリーズの未訳作品は
あと2作ある。また翻訳者によれば、シリーズ以外の
作品も含め未訳作品は30以上もあるそうで、それらが
全て翻訳されるわけではないだろうが、それでも
出版に期待したいところだ。

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