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2018年11月27日22:19

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マットに咲く夢は果てしなく ( 映画『カルフォルニア・ドールズ』)

なんとこの映画、先月日記でレビューした『スポーツ映画トップ100』の著書、芝山幹郎氏が2位に選んでいる!
びっくりしたなあ。
僕もこの映画「なんとなく」は知っていて、プロレスを扱った映画だけにいずれは観ようとAmazonのカートに入れっぱなしだったのだけど、一読して慌てて購入。
早速観ました。いやあ、これはたしかに面白い!

ピーター・フォーク演じるハリー。彼は「カルフォルニアドールズ」という2人の女子レスラーのマネージャーとして全米各地を巡っている。
彼は各地のプロモーターに彼女達を売り込み、出場スケジュールやファイトマネーの契約を取りまとめるのが主な役目だが、試合ではセコンドに付き、時には介入(加勢)したりする。

ポンコツのアメ車に3人が乗っての旅回りの毎日がなんともわびしい上に、ハリーはずいぶんいい加減な人間で、モーテルの自室に商売女を連れ込んだりする事もある。こんな男と美女レスラー2人とでは「変な関係」になりはしないかと最初に気になったのだけど、ハリーにとって2人は夢を実現させるためのお宝のようなもの。そして彼女達にとってハリーは「男」である以前に「ダメなお父さん」のような存在なのが次第に解ってくる。

最初は、果たしてマット界のスターダムに上り詰めて行けるのか?という上昇機運を得られない焦りや悩みがなんとも切ないが、試合を重ね、実績と名を売るうちにやがてチャンスが訪れる。このあたりはアメリカのスポーツムービーならではの味わいだ。
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加えてハリーと2人の不思議な絆が、コミカルで涙ぐましくて、時には熱い。それを愉快で人間味たっぷりに描き出した監督ロバート・アルドリッチ。大作でなければB級でもない。まさにウェルメイドな、古き良きアメリカンエンターテイメントの粋がそこにある。2位に選ばれて納得。やっぱり名匠だとあらためて感服です。
ちなみにこの映画が彼の遺作。1981年作。

フォト【予告編】https://youtu.be/BRe7xK9S0jc
ただし同じアルドリッチ監督作『合衆国最後の日』の抱き合わせ。

「日曜洋画劇場」淀長さんの解説!
https://youtu.be/v0a-SC2kpTQ

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プロレスファン目線で言えば、ドールズ2人の格闘シーンはなかなか迫力たっぷりで、受け身も意外に安定している。
ドールズ役の女優は全く知らない人なのだけど、オーディションによって適正を買われたのか、あるいはキャスティングされた後にかなり練習したのかが気になる。大柄なだけにアクション畑からなのかもしれない。
最初の試合場面で、ミミ萩原とジャンボ堀が登場するのももちろん見逃せない。日本からマネージャーを帯同して遠征に来ている設定みたいだ。彼女達との絡みでも引けを取ってないのも大したものだ。

プロレスの裏の部分をどう描いているのかも気になるが、相手チームのマネージャー同士で申し合わせをする場面がある程度。まあそこはWWEがカミングアウトするはるか以前だけに、不透明なところはロマンの世界、ということでしょうかね。

日本語吹き替えは先月に亡くなられた穂積隆信さん。
ピーター・フォークの地声と比べれば小池朝雄さんより断然近い。
穂積さんの追悼を兼ねて、もっと早くに日記にしたかった。あらためて冥福を祈りたい。

『スポーツ映画 トップ100』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1968981237&owner_id=26940262
3位に選んだ『ヤングジェネレーション』といい、芝山さんはこの時代の映画への愛着が深いみたいですね。



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コメント

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